2020年K-POPアイドル”パフォーマンス”大賞

前回は2020年の楽曲について書きましたが、本記事では根っからのパフォ厨の私が今年のパフォーマンスやステージ、ダンスなどに絞って余すことなく語りたいと思います。いつの間にか2021年になってしまい、今更の更新になってしまいましたが読んで下さったら嬉しいです。

4つのカテゴリに分けてご紹介します。まずは通常の活動曲から選んだ6曲です。

Make a Wish - NCT U


NCT U - Make a Wish (Birthday Song) [Music Bank / 2020.10.16]

まずはNCT Uの曲です。アイソレーションという動き(特に首)がポイントの振り付けになっています。この曲でNCT加入となったショウタロウのアイソレが凄いと話題になりましたね。活動開始前は練習生期間が短い彼に対して多くのバッシングが飛び交っていましたが、この活動でそれらを全て黙らせたように感じます。それくらい彼はダンスが上手いというのが非常に分かりやすく、彼自身に1番似合う秀逸な振り付けでした。ショウタロウはもちろん、絶対的センターのテヨンをはじめこの曲によく合う人選で、あまり穴がないので多少アイソレの完成度の足りなさはあるものの日替わりで変わる部分もあり、面白かったです。

私は3:35~の6人が輪になり、その中心で踊るジェヒョンを盛り上げる部分がダンスバトルの輪のようでアガりました。この日のミュベンはそのジェヒョンの日替わりの振りがなんともヒップホップ感が強く最高なので見てください。

Blue Hour(Dance Breack Ver) - TOMMORW X TOGETHER


TOMORROW X TOGETHER - Blue Hour(5시 53분 하늘에서 발견한 너와 나)(Dance Break Ver.) [Music Bank / 2020.10.30]

前回の記事ではこの曲の後続曲を選びましたが、こちらではメイン活動曲を選びました。タイトルにもある通りダンスブレイクバージョンなのです。動画内3:39~のダンスブレイクは音源には存在せず、この部分はステージのみで披露しています。

トレンチコートを着たバックダンサーが一斉に現れ、メンバーの5人がバックダンサーの後ろでステージによってデザインが違うトレンチコートとハットを被り再び現れて踊る、という構成なのですがこの曲と今回のアルバムコンセプトにとても合うダンスで素晴らしいです。

トゥバは爽快感があるサラッとした振りが良く似合いますね。アルバム名、英語タイトルのBlue Hourは日の出前と日の入り後に発生する空が濃い青色に染まる時間帯のことで、韓国語タイトルに入っている「5時53分」はアルバム発売月、10月の日の入りの時間なんだそうです。

このコンセプトとパフォーマンスが刺さりすぎてやはりトゥバは好みだなあと思っています。年末のカバーステージなどでも無双だったヨンジュンの、パフォーマーとしてのポテンシャルの高さに首ったけなので来年はもっとヨンジュンのダンスを観たいです。

Siren - P1Harmony


SIREN - P1Harmony(피원하모니) [뮤직뱅크/Music Bank] 20201030

今年FNCからデビューしたP1Harmonyのデビュー曲です。ラップが際立つグループなのでボーカル面でのパフォーマンス力が高いですが、ダンス面も抜かりなくて面白いです。ラップパート時のジェスチャーと振りのキレが見ていて違和感が一切無く、ラップ中心の曲の完成度を上げているように感じました。

そして毎回イントロ部分のダンスブレイクが音源、振り共に違い、全部で4,5パターン程あったと思います。衣装日替わりは最早当たり前、たまにジェスチャーや日替わりの振りを披露するアイドルもいますが、日替わりのダンスブレイクというのはおもしろいアレンジで興味深かったです。

HOME;RUN - SEVENTEEN


[SEVENTEEN - HOME;RUN] KPOP TV Show | M COUNTDOWN EP.688

どんなコンセプトでもこなすSEVENTEEN。レトロコンセプトは2020年全体的に流行りましたが、セブチは他とは一味違うダンスが印象的な楽曲だったと思います。サビのキャッチーな振りをはじめワンポイントで印象が強い振りはたくさんあるものの、基本的にあまり古さが出すぎてないのに華やかでコンセプトとよく合っている素晴らしい作りです。

目まぐるしく緻密なフォーメーション構成はミュージカル要素も感じられ、どんよりとした一年を照らしてくれるような華やかなパフォーマンスが見られる楽曲でした。

セブチは演技を含んだパフォも上手なので次にレトロやる機会があったら露骨なのも見てみたいです。

LADIDA - EVERGLOW


[BE ORIGINAL] EVERGLOW(에버글로우) 'LA DI DA' (4K)

デビュー曲のボンボンショコラ以降やっと好みの活動曲が来て嬉しいです。

エバグロの王道を外れたコンセプトの似合いようはやっぱり段違い。レトロの枠内でもなんとも攻めた系統は自然に他と差が付くのでこれが似合うって強いよなあと思います。サビの手を使う振りやアップダウンの激しい振り、大サビのイロンの日替わり振りのソロダンスが見どころですね。エバグロにはこれからも個性的なパフォーマンスを期待しています。どこかでワッキングをやって欲しい…

Fiesta - IZ*ONE


[최초공개] 아이즈원(IZ*ONE) - FIESTA | COMEBACK IZ*ONE BLOOM*IZ

 お次はIZ*ONEです。前作とも前々作ともまた違った、高貴で力強いパフォーマンスを見せたこちらが今年の活動曲の中でも印象的でした。

IZ*ONEは12人という大人数ならではのダンスが魅力的ですが、ダイナミックな振りが充てられたことで過去作品よりも更に強い印象を残したのではないかと思います。サビで揃う大きな振りや、間奏で一列になるフォーメーション、大サビのチェヨンセンターで行われるアップダウンの激しい振りなどポイントとなる部分が盛りだくさんで、一曲だけとは思えないくらいの満足度と高揚を感じました。

あと、IZ*ONEって他のグループと比べてカムバごとに髪色、髪型共に大幅に変えるメンバーが多い気がします。気のせいかな。毎回一新する上に曲のコンセプトにぴったりだから凄い。これはチェウォンのショートが優勝してたと思います。

 

<年末授賞式部門>

[SBS歌謡大祭典] INTRO - ENHYPEN aespa TREASURE


ENHYPEN + aespa + TREASURE - INTRO [2020 SBS Gayo Daejeon in Daegu Ep 1]

SBS歌謡大祭典で行われた、今年デビューの新人3グループのパフォーマンスの中で、イントロダンスブレイクのみを抜粋した動画が存在したのでこちらについて語りたいと思います。今年デビューということで、このダンスブレイクは共通してグループの特徴や強みが色濃く出ている上質なダンスブレイクでした。

ENHYPENはこの日、白い手袋をはめています。その衣装が際立つ0:21のニキセンターの千手観音的な手の振りが印象的で、その際に打つヒットもゾワゾワ来て最高でした。終盤にメンバー7人のうち5人が倒れ、残りの2人のうち1人を最後の1人のジェイが殺めたかのような振りのインパクト、凄いですね。(0:27)最後ジェイに殺められたのはジョンウォンなのですが、ジェイを担いで後ろ向きに倒れる構成みたいです。そこまでは分かってもどうしてそんなことができているのか分からないのでモヤモヤしました。

aespaはメンバーが4人と少人数ながら、バックダンサーをつけずとも、地味でない緻密な構成のダンスブレイクで、ここまでとは正直驚きました。音源が音楽だけではなく声も入っていて、まず序盤に後ろを向いている4人が「aespa」と呼ばれて振り向き、「Let's get it」で踊り始め、デビュー曲のタイトル「Black Mamba」と叫ばれ振りが盛り上がり、最後音楽が終わると同時に「aespa…」という声で後ろのモニターにaespaの文字が映し出されます。それに加えてカメラワークも振りをより大きく見せることに貢献していて、全体を通して自己紹介的な、これを見ればどんなグループなのかが分かるくらいaespaらしさが出ている秀逸なダンスブレイクでした。

TREASUREは大所帯の強みをめちゃめちゃ生かしてますね。大所帯だからこそ必要以上にフォーメーションを複雑にせず、カウントずれなどで魅せる。最初から最後までほぼ全員が同じ振りなのですが、逆にそれが迫力を生み、少しのカウントずれや少しの移動がアクセントになる。大人数だと同じ姿勢から上に飛ぶ人と姿勢を変えない人の2種類が同時に存在するだけで大きな変化になるからいいですよね。あと1:43でマシホがタンブリングするんですが、オーディション番組YG宝石箱のステージを思い出してちょっと泣けますし、グループに1人アクロバットできる子がいるだけで一曲の振りの中で盛り上がるポイントが作りやすいのでこれも強みだと思います。

[MAMA]Triangular Fight - THE BOYZ×ATEEZ×Stray Kids


[2020 MAMA] THE BOYZ X ATEEZ X Stray Kids_Triangular Fight

 2020年は「Road to Kingdom」が放送されました。数々のグループが戦い、最終的にTHE BOYZが優勝し、「Kingdom」出場の切符を手に入れた訳ですが、「Kingdom」の収録、放送が2021年ということでMAMAでは出演が決まっているTHE BOYZ、ATEEZ、Stray Kidsがそれぞれ、番組で行われる競演のような意味ありげなステージを披露しました。

こちらはその3組からTHE BOYZのジュヨン、ATEEZのサン、Stray Kidsのヒョンジンの3人のコラボステージです。グループでダンスを担うメンバーが選抜されたのだと思いますが、三者三様の良さがありますよね。サンの感情剥き出しのダンス、ジュヨンの柔軟で器用なダンス、ヒョンジンの豊かな表情と長い手足を巧みに操るダンスが上手く混ざり、番組のコンセプトも相まって完成度が高いステージでした。是非またこのメンバーの作品をどこかで見たいです。

 

<サバイバル番組部門> 

[Road to Kingdom] 桃源郷(Quai una fantasia) - THE BOYZ


Road to Kingdom [풀버전] ♬ 도원경 (Quasi una fantasia) - 더보이즈 (원곡: 빅스) @3차 경연 너의 노래 200611 EP.7

先程も話に挙げた「Road to Kingdom」からTHE BOYZのパフォーマンスです。本家のVIXXはコンセプトドルとして名高いグループで、扇子を使うダンスを組み込み、音楽 衣装 ダンス全てにおいて世界観が確立しているステージとなっています。


VIXX - Shangri-La(Remix ver), 빅스 - 도원경(리믹스ver) @2017 MBC Music Festival

本家の東洋美コンセプトとは変わって、月光ソナタで編曲したことで現代寄りに落とし込み、神秘的で儚いアレンジです。Aメロ部分の緻密な群舞はやはりドボイズの強みですし、様々な工夫が組み込まれている丁寧なストーリー仕立てになっているので飽きない、そしてどの瞬間を切り取っても美しい。扇子や韓服という本家の特徴は切り捨て、白一色の群舞が生える衣装に加えて、途中から腰に桃色の布を付けて花びらが舞う演出や曲のコンセプトにも合う衣装に。桃色の布を被って花びらのように集まり、その中心で桃色の髪のニューがCメロを歌う構成が特に心に刺さりました。

このステージを観てドボイズには切実に、こういうコンセプトの曲に挑戦してほしいと頼みたい。最近はダークで大人なコンセプトの楽曲をパフォーマンスしている彼らですが、そちらがひと段落ついたら是非!

[I-LAND]Rainism,쌔끔해,One of A Kind - ソンフン、ジョンウォン、ケイ(アイランド)


[I-LAND/Full Ver.] 세 번째 테스트 - 댄스 총대 유닛 '아이랜더' ♬Rainism, 쌔끈해, One Of A Kind 200724 EP.5

続いてはENHYPENが誕生したサバイバル番組のダンス対決のステージです。アイランドとグラウンドの2チームから3人ずつ選抜されてそれぞれ割り当てられた3曲(内2曲は振りが決まっていて、1曲はメンバーが振りつけたもの)で踊ります。

どちらもHIPHOPベースですが様々なジャンルのダンスが組み込まれていて、アイランドチームの課題曲には比較的ポピュラーなダンスが割り当てられています。ポッピンやクランプは熟すという印象ですがまず出来る事が凄いのと、幾つかのポイントとなる部分も確実に決めていますし、1:40〜のケイが振りを付けた曲も雰囲気が綺麗に合っていました。このダンス対決で先輩の曲のダンスではなく、このようなタイプの楽曲と振りを持ってきたという点もダンスの実力が分かりやすく素晴らしいと思いました。

[I-LAND]전사의 후예, 반전, One Of A Kind -  ニキ、ニコラス、ジェホ(グラウンド)


[I-LAND/Full Ver.] 세 번째 테스트 - 댄스 총대 유닛 '그라운더' ♬전사의 후예, 반전, One Of A Kind 200724 EP.5

こちらのグラウンドチームの課題曲にはロックダンスやブレイクダンス、クランプが組み込まれており、オールド寄りのダンスです。まず序盤からニキの勢いが凄い。彼の反骨精神や普段以上のブチ上がり度で凄くテンション上がりました。舞台気質な人の舞台は本当面白い。2曲目の位置に付いた時にセンターのニコラスが両側の2人の肩を叩く仕草はアドリブですよね?このアングラ感が良かった。番組の設定でグラウンドチームはアイランドに毎回挑んでいるようなものなので、そのグラウンダーの下から這ってくるような雰囲気もいい具合に作用したと思います。ニキ振付の3曲目の締め方も一連の流れに上手く乗っていました。

 

両グループとも踊りこなしていて凄かったんですが、このヒップホップの楽曲に違和感なくノれている人というのはワンランク上の風格を感じます。やはりKPOPはダンスにおいても様々なジャンルを取り入れて上手く使うという良さがあるので、そこの違和感やズレが減っていったらもっと面白くなりそうですね。

KPOP沼に来て、様々なダンスジャンルをアイドルが満遍なく学んでいる事に驚きました。クランプって習うものだったんだ…とアイドルのクランプを見て思ったんですよね(そりゃ習うものなんだろうけど)。アイデンティティーとも言えるくらい一つの得意ジャンルを武器に踊っているアーティストを応援してたので、学校や事務所のレッスンで色んなジャンルを(あまりメジャーでないものも)満遍なく「習う」という形態にギャップを感じたんです。

グラウンドチームのジェホがダンス代表に立候補した時、今は学校でヒップホップも学んでいるから力になれる と言っていたんです。そっかあ、学ぶものなのかあ、そうやった土壌が整っているんだもんなあと感心した記憶もあります。

 

<カバー部門>

Psycho(Red Velvet) - 00s


00s - Psycho (original song: Red Velvet)

Stray Kidsのヒョンジン、AB6IXのデフィ、ASTROのサナ、Golden Childのボミンの4人がRed VelvetのPsychoをMusicBankでカバーしたステージです。全員が2000年生まれということで00s(빵빵즈)というユニット名が付いています。昨年にも同じメンバーでGOT7の딱 좋아を同番組で披露しました。딱 좋아は可愛らしいステージでしたが、今回のカバーはクオリティの高さを魅せやすい楽曲のチョイスでしたね。

女性アイドルの楽曲を男性アイドルがカバーするということにおいて、違和感なくカバーできる人は表現の幅が広いです。これは線が細くて男らしくない男性だから、女性的な一面がある男性だから、上手く女性アイドルの振り付けを踊れるというような考え方ではなく、「好きかどうか」の話だと思っています。多くの男性アイドルはランダムダンスの企画で、女性アイドルの楽曲が流れた時よりも男性アイドルの楽曲が流れた時の方が、前に出て踊る人数が多いです。ランダムダンスでよく流れる且つ、踊れる人が多い楽曲はEXOのWolfや、BTSのFake Loveの辺りだと感覚的に思うのですが、これは本人が本家の振りに対して好感を持っているから、踊りたい振りだから覚えるし、踊れるんです。逆に言うと、女性アイドルの楽曲に対してはそう思う人が少数だから先陣切って踊る人は少ないし、ステージで披露できるレベルで踊れる人も少ないです。こう考えれば女性アイドル楽曲の振り付けを踊るのが上手い男性アイドルは、表現の幅も広いしダンスも上手いという事が伝わるでしょうか。

長々と説明し過ぎてしまいましたが、つまりここまで本家に劣らないパフォーマンスが出来るのは本人達の表現の幅の広さを表しています。特にデフィとヒョンジンは体の使い方が上手くて、ジャンル問わず広い興味があるからこんなに落とし込めているんだろうな という印象。デフィはTWICEが流れた時に先陣切ってセンターで踊るようなアイドルで、女性アイドル楽曲が好きでよく見てる子だからこそ上手いんだと思います。ヒョンジンは踊れないジャンルがないのではないかと怖くなるほど腰の使い方が上手い。スローテンポな楽曲なので振りもスローですが全ての動きを美しく表現してますし、ノスタルジックな表情が良さを増減しています。デフィとヒョンジンのように体を上手く使いこなしている訳ではないですが、ボミンの凛々しさが見え隠れしている表現が興味深かったです。最後に「Psycho…」と呟く部分など、本家の表現にプラスして自分の得意な表現が自然に(無意識に?)出ていたように感じました。サナの模範的ながらも、角度やジェスチャーのハズレが全くない弱みの無いカバーと、雰囲気で世界観を表現している強さは凄いです。

 

 

一つ一つにかける想いが溢れ過ぎてしまいましたが、2020年の個人的なパフォーマンス大賞はこんな感じでした。画面を通して観る事が多かったからか、映像でのパフォーマンスの良さをより感じた一年でした。2021年もアンテナを張って良パフォーマンス、良ステージを発掘していきたいです。